昨年より一気に加熱したジャニーズ事務所の性的被害問題。この問題が加熱した発端はBBC報道である。その中心となったのがモビーン・アザー氏だ。彼は何者?そう思った方もおられるかと思う。
現在、私はBBCが公共放送として観ることができる英国に住んでいる。しかし、彼がBBCで報道したのを観たのは初めてだった。モビーン・アザーとは何者か?なぜ彼はジャニーズ問題を追求したのか?彼の生い立ちとジャニーズ問題は関係があるのか?そんな素朴な疑問を追っかけてみたい。
モビーン・アザー氏とは
アジア系イギリス人ジャーナリスト
モビーン・アザー氏はイギリス北部ヨークシャー生まれのアジア系イギリス人。産業革命時は織物業で繁栄した街のようだが、それ以降、織物業は衰退しているので、決して豊かな街とは言えないだろう。彼の父親はドライバーを職業としていた経験から、アザー氏には大学で学位を取る事を勧めていたという。その影響からか、大学でまずは法律を学び、その後、リーズトリニティ大学で放送ジャーナリズムを学び直した。
BBCでの積極的な活動は2012年から
彼の主な活躍は、アジア系をルーツとすることからパキスタン等の報道、そしてプリンスを敬愛することからプリンスの他、ブリトニー・スピアーズ、カニエ・ウェストなどのミュージシャン、エンターテイナーに関するドキュメンタリー制作を行なった。また、アザー氏本人が自分がゲイであることをオープンにしていることも影響してか、パキスタンでのゲイに関する報道実績もある。
強み:アジア、ミュージシャン、ゲイ関係報道
アザー氏はBBCの社員ではないものの、ジャーナリストとして、BBCとの深い連携を強みに、アジア、ミュージシャン、エンターティナー、ゲイに関するジャーナリスト活動を行なっている。そして、2023年3月に彼が報道したドキュメンタリー”Predator: The Secret Scandal of J-Pop”が日本でも大きな話題となり、ジャニーズ事務所が解体することとなった。
アザー氏の”世界を変えたい”という想い
アザー氏がBBCで自身の経歴に語ったことがある。
“16歳の時、私は世界を変えたいと決意した。大学では法律で学位を取得したが、その時、世界を変えるプランが自分の中に見つけることができなかった。そしてボランティア活動を一年間したのちに、大学でジャーナリズムを学び、まだ語られていない人々のドキュメンタリーを撮りたいと思った。そう、ついに私は自分の人生の目的を見つけたのだ。“
アザー氏は、実際にBBCのジャニーズ報道により、ジャニーズ事務所解体のみならず、日本の法律を変える原動力を作った。そして彼がジャニーズ問題を探るきっかけについても話している。
“2019年にジャニーズの問題を初めて知ったが、インターネットでは言及されているにも関わらず、日本の主流マスコミはジャニーズ問題を報道していなかった。自分は、これは追跡するに値するストーリーだと確信した。一方で問題を探れば探るほど、誰も語りたくない状況も知った。“
モビーン・アザー氏の受賞作品
・2017年:BBC Muslims Like Usでイギリス最大のテレビ賞であるBAFTA受賞
・2022年:リーズ・トリニティ大学(ジャーナリズムを自身が専攻)で名誉フェローを獲得
・2023年:日本外国人特派員クラブにおいて、Predator:The Secret Scandal of J-Pop(ジャニーズ問題を扱ったBBC番組)がthe Freedom of Press Award(報道自由賞)を獲得
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