ウイスキーの聖地と言われるスコットランド北西部に位置するアイラ島。吹き荒ぶ強風、島の土地もとても肥沃とは言い難い。けれど、この土地の産物であるウイスキーは世界中のウイスキーラヴァーにとって垂涎の対象。スコットランドに住む者、お酒を愛する者として行かない訳にはいかない。
島の中心地はアイラを代表する銘柄ボウモア蒸溜所があるその名もボウモア。そこから車で10半程にあるB&B(ベッドと朝食を提供する簡易な宿)。宿の主人は”何もない”と謙遜するけれど、何もない贅沢さがここにはある。
宿に何箇所かある黒いプレートを見上げると、オーナーが”ここではゆっくりして行ってくれ。アイラなんだから”と。
オーナーと話をすると、なんと以前スコットランド最大都市であるグラスゴーに住んでおり、そのあと軍人として勤務(なるほど見た目がイカついのも頷ける)その勤務中の研修で偶然出会ったのが現在の奥様。奥様は元バレリーナでピンとした立ち姿に面影が残る。これぞ美女と野獣カップル(笑)
アイラ島で時々紫色の植物を見かける。ヘザー(ヒース)と言われる植物で、これがやがてはウイスキー作りに欠かせない泥炭(ピート)へと変化していく。アイラ島の土地のなんと80%が泥炭だと言う。足を踏み入れるとズブっと柔らかく、昔は家庭用燃料として使われていたものの、今や煙の出る炭は環境悪と捉えられている。
しかし、この泥炭こそがピート香を生み出し、スコットランド最大の輸出物スコッチウイスキーの要となる。今日の泥炭は、明日の金塊。マイナスをプラスへ変えるスコットランド魂。この島の人達はゆっくりしながらも、したたかに戦略を練っているのかもしれない。
【アイラ島の宿 Dhan Urlar】
住所 Cruach, Bowmore PA43 7JQ Scotland
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