ブルックラディとはゲール語(スコットランドの古い言葉)で海辺の丘の斜面。この土地の性質と素材を活かしたウイスキー作りをしているのがアイラ島にあるブルックラディ蒸溜所。
現オーナーはフランスのレミーコアントロー。ワイン作りにおいてテロワール(土地)は重要な要素だが、ウイスキーは意外と重要視されていなかったことに気付く。そこで蒸溜所の土地と素材がスピリッツ(蒸留酒)に命を吹き込むと信じ、100%スコットランド産の大麦麦芽を使用。アイラ島で唯一ボトリングまでの工程を全て行い、さらにアイラ島での雇用を大切にする(B&Bオーナーもブルックラディの雇用には触れていた)。
ブルックラディはレミーコアントロー傘下に移る以前、実は”アイラ島の伝説の男”と言われたジムマッキュワンの手によって復活した時代もある。彼はかつてアイラのボウモア蒸溜所で12年間マネージャーを務め、その後、アイラ島の雇用活動に力を注いでいた。その彼がブルックラディに関わったのだから、当然ウイスキー作りは伝統的ならものにならざるを得ない。
今でもウイスキー作りの過程を丁寧に人間の目で見つめ、作り上げている。蒸溜所ツアーではその工程を見学し、出来上がったばかりのウイスキーの赤ちゃん、つまり樽で熟成する前のスピリッツを試飲することができる。しかし、正直申し上げるとアルコール度数が強いばかりで正直美味しいものではないのだが。
蒸溜所最後はお待ちかねの試飲タイム。ブルックラディは他のアイラ島のウイスキーとは違い、ノンピート(ヨード香のしない)が特徴。蒸溜にかける時間をあえて長くすることで、フルーティで華やかなノンピートウイスキーを作り上げている。写真にある青いボトルがノンピートの代表格。この青色は2001年に操業を開始した時に広がっていた美しい青空と海にちなんでラディブルーと呼ばれる。しかし、この一本以外にも、なんとヘビーピートのポートシャーロット、更に世界一ピーティなオクトモアを用意し、いずれも人気が高い。
伝説の男とフランスの酒文化の結実が、今や世界中からファンを呼び寄せているブルックラディから目が離せない。
【ブルックラディ蒸溜所 Bruichladdich distillery】
住所:Bruichladdich, Distillery, Isle of Islay PA49 7UN, United Kingdom
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